当会が特定非営利活動法人の設立を決意した思いをお伝え致します。
介護保険における訪問介護は、あくまでも自立支援のためのサービスですから、多くの制限があります。
ヘルパーさんは、卵を買って来ることはできても本や電球を買ってくることはできませんし、家具の移動や花木の水やり、窓ガラス清掃や床のワックスがけ等日常的な家事の範囲を超えるお手伝いもできません。病院の待ち時間の付き添いも介護保険適用外ですから、具合が悪くてもひとりで待たなければなりません。
また平成24年4月施行改正介護保険法では、生活援助の時間基準が60分から45分に短縮され、実質的な給付制限となりました。ヘルパーさんは洗濯物を干したり畳んだりも難しくなってしまったのです。
困っている方は、本当にたくさんいらっしゃいます。
私たちは、このような介護保険適用外あるいは介護保険だけでは不足する「どこに頼めばよいかわからない」に廉価で応える仕組みをつくるべく、必要とされるサービスの内容や提供方法、料金体系を策定し広報すると共に、サービス提供にあたるスタッフを募集採用し、教育研修をはじめとする各種サポートを行っています。
サービスの充実や向上はもちろんですが、私たちが何より大事にしているのは、楽しい時間の提供です。普段外出が叶わない方に季節を感じて頂きたくて、通院の帰り道には寄り道して桜を観て頂いたりもします。久々に外食をしたいとおっしゃる方には、お食事をご一緒させて頂いたりも致します。
つらいしんどいが、少しでも楽しいと思って頂けるために何ができるのか、それが私たちの行動規範です。
私たちの活動の源泉は、かつて日本にあたりまえのように存在した地域コミュニティの相互扶助機能にあると考えています。行政や社会福祉協議会、民生・福祉委員、病院、介護事業所等と密接に連携し協力を仰ぎながら、活動を通じて、衰退しつつある地域コミュニティの再生、つまり、幇助を必要とされる方を近隣で同意頂ける方がサポートする体制の構築に積極的に取り組んでまいります。
もちろん、幇助を必要とされないお元気な高齢者の方には逆に幇助をお願いしたり、地域催事への参加や定期的なサークル活動を企画・ご提案することで、地域社会との接点を持つ機会や高齢者同士が交流を深める場を提供する事も考えています。
このような社会性と、継続性が求められる活動を行うためには、団体での組織管理や財産管理の観点からも法人格を持つことがふさわしいと考え、更には、地域コミュニティにとけ込みより多くのご賛同とご協力を頂くためにも、社会的信用性の高い特定非営利活動法人を設立することを決意いたしました。
私たちは、この活動の成果を社会に還元し、ひとり暮らしの高齢者の方達はもとより、誰もが安心して笑顔で暮らせる地域社会の実現に寄与します。